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社長に退職金を支給できる!法人化で退職金による節税メリットについて考えてみる。

2016年8月12日

 

【個人事業主には退職金がない】

 

個人事業を行っている個人事業主は、「自分に退職金を支給することができません。」

これは、事業主の妻等の「事業専従者」も同じです。

 

これに対し、法人化すれば、役員としての社長、社長の配偶者に対して退職金を支給する

ことが可能となります。

 

退職金は、法人の税務上、法人の経費になることに加えて、個人の税務上も給与、賞与等に

比べ税制上、大変優遇されており、「払って良し」「もらって良し」のお得な制度となって

います。

 

例えば、オーナー社長であれば、40年勤続するケースは決して珍しくはありませんが、

 

このような場合、仮に退職金を3,000万円もらった場合で試算すると3,000万円から

「退職所得控除」2,200万円を控除した残額800万円の「2分の1」の400万円にしか

所得税、住民税は課税されないのです。

 

さらに、どれだけ給与を多くもらっている社長さんであったとしても、いわゆる分離課税

により退職金を給与と分離して課税されます。

 

その結果として3,000万円の退職金支給について、所得税・住民税合わせて、わずか780,322円

の税額(実質2.6%)で済むこととなります。

 

このように、退職金は、給与で支給するのに比べてトコトン、優遇されています。

是非、退職金の税務を理解して、自社に上手に活用したいものです。

 

 

【退職所得の計算方法】

 

退職金は、退職後の生活資金であり、長年の功労に報いる側面もあるため、

税制上、課税が重くならないように配慮されており、下記の計算式のように

他の所得に比べて極めて優遇されています。

 

では、計算手順を具体的に確認していきましょう。

 

 

<退職所得の計算式>

 

(収入金額-退職所得控除 (※1))×1/2(※2)=退職所得(※3)

 

 

<退職所得控除>※1

 

退職金の収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除を控除します。

 

勤続年数に応じて年40万円ずつ控除額が増えていく仕組みですが、20年を超える

部分について年あたりの控除額が70万円と大きくなる点が特徴です。

 

・20年以下の部分・・・40万円×勤続年数※

・20年超の部分・・・・800万円+70万円×(勤続年数※-20年)

 

※1年未満の端数は切り上げ・・・例えば、10年1ヶ月の場合、切り上げで11年となります。

 

 

 

<2分の1課税>(※2)

 

退職所得控除を控除した金額の1/2に対して税率を乗じます。

 

 

 

<分離課税>(※3)

 

退職金は、税務上、給与など他の所得と分離して課税が行われ、税負担が軽くなるように

配慮されています。

 

退職所得の税額速算表に基づき計算します。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2732_besshi.htm

 

(1)所得税

(400万円×20%-427500)×1.021=380,322円

 

(2)住民税

400万円×10%=400,000円

 

 

<その他/相続税の非課税>

 

被相続人が死亡により退職金が支給された場合、上記と異なり所得税や住民税は課税されず、

相続税が課税されることとなりますが、

 

この際、相続人1人につき500万円の非課税枠があります。このため、「500万円×法定相続人の数」

が、非課税とされ、相続税がかからないメリットがあります。

 

 

<退職金支給時の注意点>

 

退職金支給時には、「退職所得の受給に関する申告書」の記入、会社への提出が必要となります。

 

「退職所得控除」及び「2分の1課税」を適用するためには「退職所得の受給に関する申告書」の

提出が要件となっているためです。

 

申告書を提出している場合、上記の計算方法に基づき、正しい所得税額が徴収済みであるため、

別途確定申告をする必要はありません。

 

これに対し、退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合は、「退職金支給額×20.42%」

の源泉徴収が必要となり確定申告をすることにより、所得税を精算しなければなりません。

 

このように届出書を提出しなかった場合、源泉所得税の徴収額が重くなる点にご注意下さい。

 

 

【役員の5年以下の退職金支給の場合】

 

退職所得の金額は通常、退職金の支給額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1が退職所得

となりますが、勤続期間5年以下の役員等の場合には、2分の1計算の適用はありません。

このため、5年を超えてから退職金を支給する方が有利となります。

 

 

【まとめ】

 

<法人のメリット>

退職金が法人の経費になること。

 

<個人のメリット>

個人の税金面が優遇されている。

・退職所得控除

・2分の1課税

・分離課税

 

会社設立したばかりだとなかなかピンと来ないかもしれませんが、

 

上記のような税務上、有利な退職金の税務を理解して、節税効果を自社に上手に

受けていただきたいと思っています。

 

そのための資金の計画的な準備が大切となります。

保険の活用を含めて何より計画的な準備が重要と言えるでしょう。

 

渋谷区桜丘町の福中税理士事務所では、会社設立から経理・決算・融資のほか、

会社で起きる日々の「お困り事」に親身に対応させていただきます。

 

 

【会社設立から決算まで/渋谷駅4分 福中税理士事務所】

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