個人事業の場合3年間しか赤字が繰り越せないのですが、法人の場合は9年間繰り越せるためメリットが大きくなります。なお、赤字の繰り越しはいずれも青色申告が要件となります。
定期同額給与など一定の要件を満たす役員給与は損金算入が認められるため、法人の所得を軽減することができます。
一方役員や親族従業員が給与の支給を受けた場合、給与収入から必要経費としての性格を持つ給与所得控除が差し引かれ課税されます。
この場合、1人が多額の給与をもらうよりも複数の親族が給与を分散してもらった場合、親族全体の所得税総額の節税につながるというメリットがあります。
法人では、所得にかかわらず一定の税率により課税されるのが原則ですが、個人の場合、
所得が高くなれば高くなるほど税率が高くなる超過累進税率が適用されます。
このため一定額を超える所得が発生した場合、会社設立する方にメリットがあります。
法人では所得区分という概念がありませんが個人では、事業所得、不動産所得など所得区分が細かく分かれており損益通算という概念があります。
一方、法人税にはそのような考え方はありません。
このため有価証券譲渡損などが発生した場合、所得税では本業である事業所得など本業の所得を相殺することが認められないのですが、法人税には損益通算の考え方がないため譲渡損が発生した場合、課税所得が減少します。つまり計算構造上、法人の方が節税余地が大きくメリットがあります。
法人の経営者が死亡した場合でも、代表者を変更すれば法人の事業は承継されます。
なおこの場合、親族以外の者でも役員の地位を承継できるの点も事業承継の選択肢が増えるという点でメリットがあります。
消費税は基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるなど一定の要件を満たした場合、消費税の納税義務があります。
従って、個人の場合、創業期の2年間は基準期間がないため、原則として2年間は納税義務がないのですが、さらにそこで会社設立した場合、法人でも原則2年間は納税義務がないため最長4年間、消費税の納税義務を回避することができるメリットがあります。
(平成23年改正により一部例外となる場合があります。)
株式会社等の会社設立することにより取引先への信用度が上がります。金融機関への信用度が上がり融資を受けやすくなります。
さらに会社設立に伴い人材確保が容易になることもメリットとなります。
退職金は長年の勤労の対価としての側面もあるため税制上、大変優遇されています。
法人側では経費処理される上、受け取る役員側でも創業者など長期間の勤続の場合は特に退職所得控除という恩典が大きくなるため特に高い節税効果が出やすいというメリットがあります。
退職金から勤続年数に応じた退職所得控除額を控除した残額を2分の1した上で、さらに退職所得として分離課税されます。
法人税を駆使した数ある節税方法の中でも特に節税効果の大きいものと言え退職の時期などを含め計画的に対策を進めることで節税メリットをさらに高めることができます。
個人事業とは比較にならないほど申告書作成に手間がかかります。法人になったら申告書の作成は税理士に頼むことは避けられないでしょう。
また登記が必要であり設立費用や清算費用が必要となる点がデメリットです。
複式簿記が必須であること、重要事項の決定に株主総会等の決議が必要となる点もデメリットです。
交際費の損金算入に制限がある点がデメリットです。
赤字でも最低7万円程度の法人住民税の均等割(いわゆるショバ代)が課税される点がデメリットです。
個人事業の場合、一部の業種を除き、従業員5名未満の場合、社会保険の加入義務がありませんが、会社を設立し法人化した場合、社会保険の加入が必要となります。