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外国人従業員の扶養控除等について/年末調整の注意点

2016年12月18日

外国に居住している従業員の扶養親族についての「扶養控除」「配偶者控除」、

「配偶者特別控除」「障害者控除」の適用を受ける際に、

 

平成28年以降、年末調整においてご注意いただきたい点があります。

 

外国人の役員、従業員は、勤務先に「親族関係書類」、「送金関係書類」

(翻訳文含む)という2種類の書類を提出しなければならなりました。

 

つまり勤務先の会社側で「一定の書類」の受け入れが必要となりました。

 

【扶養控除とは】

扶養控除は、従業員が本国に親族を残して日本国内で働いている場合であっても、

外国に居住している扶養親族の年間の合計所得金額38万円以下の場合、

下記のようにそれぞれ扶養控除の適用を受けることができます。

 

(イ)一般の扶養親族(その年12月31日現在で16歳以上)

・・・控除額38万円

 

(ロ)特定扶養親族(その年12月31日現在で19歳以上~23歳未満)

・・・控除額63万円

 

(ハ)老人扶養親族(その年12月31日現在で70歳以上)

・・・控除額48万円

 

ポイントは、国外扶養親族について扶養控除等の適用を受けるためには、

 

(1)「民法上の(法律上の)親族にあたるかどうか?」

を確認するための「親族関係書類」

 

(2)「親族との間に実際に扶養関係があるかどうか?」

を確認するための「送金関係書類」

 

という2つの書類の提出が必要になったと言う点です。

 

では、それぞれの書類がどのようなものか見て行きましょう。

 

【親族関係書類】

親族関係書類とは、外国の政府や地方公共団体が発行した戸籍謄本のような書類で、

その「国外居住親族」が従業員の親族であることを証明するものです。

 

なお、現地の外国語で記載されているため、日本語の「訳文」の添付が

あわせて必要となっていますのでご注意下さい。

 

【送金関係書類】

送金関係書類とは、居住者がその年において国外に居住している親族の

生活費、教育費に充てるためにその居住者からの支払いの都度、行われた

ことを明らかにするための書類で具体的には下記のものが該当します。

 

(1)「外国送金依頼書」・・・銀行から生活費等を送金したことが確認できるもの。

(2)「カード明細」・・・・従業員本人が国外扶養親族が使用するために加入

したクレジットカード(いわゆる家族カード)を利用することにより、実質的に

金銭を受領したことを確認できる利用明細等。

 

なお、送金関係書類には下記のような注意点があります。

 

<原則すべての送金関係書類が必要>

年数回にわたって送金を行っている場合は、原則としてすべての送金関係

書類の準備が必要となります。

 

ただし、1人の者に対する送金が年3回以上となる場合、その年の最初と

最後の送金関係書類を提示することでその他の送金関係書類の提出を

省略することが認められています。

(なお、提出を省略した送金関係書類は自己で保管しておく必要はあります。)

 

<国外扶養親族が複数いる場合>

扶養控除等を受ける場合、各人ごとに分けて送金する必要があります。

扶養控除の適用を受けようとする国外居住親族が2人以上いる場合に、

代表者にまとめて送金していると、その代表者のみの送金関係書類となり、

その他の者の送金関係書類には該当しないこととなります。

 

<手渡しの場合>

現金を手渡ししている場合、上記「送金関係書類」がありませんので、

その国外扶養親族については扶養控除の適用を受けることができません。

 

 

<まとめ>

今まで外国人の確定申告、年末調整において、扶養親族が10人を超える

扶養控除の適用を受けているケースが実態として多く、これに対し、

その扶養関係の事実確認が難しいという課税上の問題点がありました。

 

このような状況を適正化するために国外扶養親族の扶養控除について手続が

厳格化されたという経緯があります。

 

サービス業、飲食店や製造業を始め、中国人、韓国人、ブラジル人、フィリピン人

など多くの外国人従業員を雇用する業種の場合には取り扱いについては十分確認して

おきたいところです。

 

国外扶養親族の扶養控除等の適用については、上記のような細かな要件がありますので

外国人の役員、従業員が在籍している場合には、事前に要件を伝えておくことが

大切と言えるでしょう。

 

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